Sukanto Tanotoと言えばインドネシア有数の富豪で第1位になった事もあるが、ニュースに接することがなかったので、今迄取り上げたのは2009年の1回程度である。
その時の内容には違法取引、税務問題、商事係争があり、それがその後明るい話も出なかった事情なのだと一旦は納得した。
筆を執ったのはこの人、或いはグループや会社の名前も含め一言で言える名前は何なのかを確認したいからである。
そこで今Forbesではどうなっているかを調べると 2020年は11億ドルで22位ながらSukantoTanotoとちゃんと出ている。 昔、第1位であった時は47億ドルで、多いと言えば多いが、エカさんやDjarum辺りに比べると小さい感じである。
今は当然か、予想通りか、下がって22位となったが、その前後を見ると21位はMochtar Riadyであり、23位はHusain Djojonegoroである。(だから、錚々たるとも言えるしお互い辛いなとも呟けようか)
個人としての名前として、Sukantoと言えば初代警察長官の名前にいるし、Tanotoは他に居ないので、これで通じるのかちょっと心配だが、近づいて来た世代代りの次世代の名前がTanotoと付いており、Tanotoが姓ならTanoto Familyと言うことにしよう。
代表企業とか企業グループとしては、昔、RGM (Raja Garuda Mas)グループと言っていたが、RGMは変わらぬがRoyal Golden Eagleに変更しているようだ。 どちらもGaruda/Eagleの鷹が入っているので、羽ばたく鷹の図案のロゴは変わってない。昔は呼びやすいRaja Garudaグループに慣れていたが、今はどう呼ぼうか。RGMはMGMと間違いやすいしGolden Eagleだけだと沢山あるようだ。
そして紙パ/パーム/エネルギーの3大事業分野を持つグループを代表する企業はパルプ&ペーパー分野のAsia Pacific Resources International HoldingsLimitedであるが、通称がAPRILとは心憎いが、Singaporeが本社である。APRILでグループを呼ぶには適切ではないだろう。 説明だけすると、創業者のS.Tanoto氏は既にBoardから降りているようだがシンガポール居住だと言う。 APRILの子会社にはインドネシアのRiau Andalan Pulp & Paper(PT RAPP)があり、パルプ年産2.8百万トンと世界一だそうだ。こちらも植林事業故、森林破壊などの管理が厳しくあるが、既に70,000haはPEFCの認定を得ており、このエコ回復面積を150,000haに拡大するとして1億ドルの投資を宣言し、各々国際監視機関は様子を見ようとされているようである。あと一つのパルプ工場のPT, Inti Indorayon Utamaはスハルトの権力を背景に地元民衆を抑えてスハルト以降も何度も血を見る抗議と弾圧の喧騒の事件を踏んできた歴史を持ているが、多分姿をかえてしまったのだろう。
紙パに次ぐ金になる木はパーム産業であるがグループのパーム産業はやはりシンガポールに上場した会社Asian Agriである。この名前でグループ名にするのも適切ではないが、これも説明を加えると、同社が管理するパーム・プランテーションはすべてはスマトラ島で、自己保有100,000haと零細農家の持つPlasma農園合わせ160,000haとなる。そして生産は、22のパーム油精製Millにて年産110万トンのパーム油を生産するという、インドネシア有数の規模である。実際のオペレーションは非上場のPT Inti Indosawit Suburを通じて行っているが、同社は持続可能なパーム油ラウンドテーブル(RSPO)のメンバーである。
ヤシ殻からのメタンガスを電気に変換するバイオガス発電所を10基運営したり、水の使用を管理し汚染を防ぎ、搾油廃棄物を最小化するなど同社のCPO加工はClosed-Loop Processと呼ばれているようだ。
インドネシアのパーム企業にはRajawaliグループのEagle High Plantationsと言う、も一つ鷹がいるので勘違いしないようにしよう。いずれにしてもグループを表すのに適切ではないようだから小生としてはTanoto (Family)とし、業界が主題の時はAPRILやAsianAgriで呼ぶことで片を付けよう。
序に付け加えると、エネルギー部門はPacific Energy Corporation Ltdが担当しているが、この名前はこの10月に変更したもので以前はPacific Oil & Gasであった。カナダや中国でのガスの探査と生産、液化天然ガス(LNG)受け入れターミナルとLNG輸出施設、中国の複合サイクルガスタービン(CCGT)発電所が含まれる。
3大部門の他、実際はパルプの派生産業と思われるSPECIALTY CELLULOSE & VISCOSE FIBRE部門もあるがこれについては第2世代を含めて次号としたい。
スカント氏に戻ると中国名はChen Jiangheでメダン出身で、2018年のForbesによると68歳(インドネシア9位の27億ドル)となっている。1970年代原木から合板へ移行の華やかなりし時代に材を為したと言う。Tanoto Foundation(財団)を持つ慈善家であることも付記しておこう。
追記:
スカント氏の誕生日は1949年12月25日だ。青少年期から父のモーター商会を手伝っており、学業は高校中退か(当時華人の教育に対し反対の暴動がこのメダン市のBelawan町で起こったそうだ)